WHIPとは(概要)
WHIP(ウィップ)は、「Walks plus Hits per Inning Pitched」の略称です。
直訳すると「投球回あたりの四球と安打」となり、「1イニングあたり、平均して何人の走者(安打と四球)を許したか」を表す投手の指標です。
防御率(ERA)と並んで、現代のメジャーリーグ(MLB)中継で最も頻繁に表示されるポピュラーなデータであり、投手の「安定感」や「支配力」を一目で直感的に測ることができます。
計算式
WHIPの計算式は非常にシンプルです。スマホなどでも簡単に自分で計算することができます。
【WHIPの計算公式】
WHIP = (被安打 + 与四球) ÷ 投球回
※注意点として、打者を塁に出してしまう「死球(デッドボール)」や「味方のエラー」は、投手のコントロールや実力だけで完全に防ぐことが難しいため、WHIPの計算からは除外されます。純粋な「ヒットとフォアボール」のみで算出されます。
評価基準(目安)
WHIPは「1.00」という数字が、一流投手かどうかの大きなボーダーライン(基準)として扱われます。
「WHIP 1.00」の投手は、毎イニングきっちり1人しかランナーを出さない計算になるため、常に安定してピンチを作らない素晴らしい投手であると評価されます。MLBの平均的な数値は「1.30前後」です。
| WHIPの数値 | 評価 | 選手層の目安 |
| 1.00 未満 | 非常に優秀 | リーグを代表する絶対的エース(サイ・ヤング賞クラス) |
| 1.10 以下 | 優秀 | オールスター出場クラス・先発2番手レベル |
| 1.25 前後 | 良い | 安定した先発ローテーション投手 |
| 1.30 前後 | 平均 | リーグの平均的な投手 |
| 1.40 以上 | 平均以下 | ピンチを招くことが多く、改善が求められるレベル |
実際のデータ例
基準となる「WHIP 1.00」を下回ることがどれほど難しく、圧倒的な支配力であるかを確認するため、2025年シーズンのサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を受賞した両エースの成績と、参考として日本人選手のデータを例に挙げます。
実際のデータ例
基準となる「WHIP 1.00」を下回ることがどれほど難しく、圧倒的な支配力であるかを確認するため、2025年シーズンのサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を受賞した両エースの成績と、参考として日本人選手のデータを例に挙げます。
| 選手名 | 所属(リーグ) | 投球回 | 被安打 | 与四球 | WHIP |
| タリック・スクーバル | タイガース(ア) | 195.1 | 141 | 33 | 0.89 |
| ポール・スキーンズ | パイレーツ(ナ) | 187.2 | 136 | 42 | 0.95 |
| 山本 由伸(参考) | ドジャース(ナ) | 173.2 | 113 | 59 | 0.99 |
| 今永 昇太(参考) | カブス(ナ) | 144.2 | 117 | 26 | 0.99 |
| 大谷 翔平(参考) | ドジャース(ナ) | 47.0 | 40 | 9 | 1.04 |
スキーンズ投手はメジャー2年目にして「0.95」という驚異的な数値を叩き出し、ナ・リーグのサイ・ヤング賞を満票で受賞しました。ア・リーグで2年連続受賞となったスクーバル投手に至っては「0.89」という異次元の記録を残しており、両者とも「1イニングに1人もランナーを出さない」という歴史的なピッチングを1年間続けていたことが、この指標から一目でわかります。
日本人選手に目を向けると、メジャー2年目の今永昇太投手も「0.99」と、サイ・ヤング賞クラスである『1.00未満』の壁を見事に突破する素晴らしい安定感を見せました。また、本格的な投手復帰を果たした大谷翔平選手も「1.04」というエース級の数値を記録しており、一流のボーダーラインである1.00に肉薄する圧倒的な支配力を見せていたことがわかります。
【補足】WHIPの注意点(弱点)
WHIPは計算が簡単で投手の安定感を測るのに非常に便利ですが、統計学的には一つ弱点があります。
それは「単打(ポテンヒット)も、特大のホームランも、同じ『1』として計算されてしまう」という点です。
ランナーをたくさん出しても粘り強く無失点に抑える投手と、ランナーは出さないが一発病(ホームランを打たれやすい)のある投手の区別がつきにくいという側面があります。そのため、投手の純粋な実力や失点リスクをさらに厳密に評価する際は、この弱点を補完する「FIP」といった上位指標が併用されます。


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