ABS(自動ストライク判定システム)とは(概要)
ABSは「Automated Ball-Strike system」の略称で、最新テクノロジーです。
Statcastでもおなじみのソニー製「ホークアイ(Hawk-Eye)」カメラが投球軌道をミリ単位で3D解析し、ホームベース上のストライク・ボールをシステムが瞬時に自動判定します。長年人間の「目と勘」に頼ってきた野球のジャッジに、ついに物理学とテクノロジーが介入した、現代野球の象徴的なシステムです。
【2026年最新】メジャーで正式導入された「チャレンジ方式」
マイナーリーグ等でテストが繰り返されてきたABSですが、2026年シーズンからついにメジャーリーグ(MLB)の全球場で正式導入されました。
当初はすべての投球を機械が判定する「フルABS方式」も検討されていましたが、「ベースの端をかすっただけの変化球や、高めから落ちるカーブが機械的にすべてストライクになってしまい、野球というゲーム性が崩壊する」として現場から猛反発が起きました。その結果、落とし所として採用されたのが、人間と機械が共存する現在の「チャレンジ方式」、MLB中継でも聴き馴染みのあるABSチャレンジです。
【2026年版・ABSチャレンジの公式ルール】
- 基本は人間が判定: これまで通り、人間の球審がストライク・ボールをコールする。
- 当事者のみ権利あり: 判定に納得がいかない場合、「打者・投手・捕手」のいずれかが、判定から約2秒以内にヘルメットや帽子をタップしてABSへリクエスト(チャレンジ)を要求できる(監督やベンチからの指示は一切不可)。
- 回数制限: 各チーム**1試合につき「2回」**のチャレンジ権を持つ。チャレンジが成功(判定が覆った)場合は、権利は減らない。
- 即時判定: チャレンジが行われると、球場のビジョンにCGで軌道が映し出され、数秒で最終判定が下される。
ストライクゾーンの「基準」はどう変わったのか?
ABSのストライクゾーンは、固定された四角い枠ではありません。
システムが各打者の身長を読み取り、一人ひとりに合わせたストライクゾーンを自動生成します。2026年の基準では、「打者の身長の27%の高さ(下限)」から「53.5%の高さ(上限)」までと厳密に数値で定義されています。
これにより、極端に身を屈めるようなクラウチングスタイルをとっても、機械が判定するストライクゾーンはごまかせなくなりました。また、ホームベースの中央を通る平面(2D)で判定されるため、昔のフルABS時代に問題視された「極端なスイーパー」などに対する判定の不満も解消されています。
【深掘り】ABSチャレンジがもたらす「キャッチャーへの残酷な影響」
このABSチャレンジ制度が正式に始まったことで、これまでメジャーリーグで重宝されてきたキャッチャーの「フレーミング(Framing)」という職人技の価値が根底から揺らいでいます。
フレーミングとは、ボール球をキャッチング技術でストライクに見せかける技術のことです。しかし2026年現在、キャッチャーがどれだけミットを動かして審判を騙し「ストライク」のコールをもぎ取ったとしても、打者が「今のはボールだ」とチャレンジすれば、システムの正確な判定によって即座に覆されてしまいます。
これにより、フレーミングという職人技の価値が激減し、キャッチャーの評価基準は「ブロッキング(後逸を防ぐ)」と「スローイング(盗塁阻止)」という、本来のフィジカルな守備力へと強制的に原点回帰することになりました。


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