【メジャー用語解説】投球回(IP)とは|エースの証「イニングイーター」の価値

用語解説

投球回(IP)とは(概要)

投球回は、英語で「IP(Innings Pitched)」と表記され、「その投手が試合でどれだけのアウトを取ったか(何イニング投げたか)」を示す基本的な指標です。

現代のメジャーリーグでは、球数制限や投手の分業化が徹底されているため、長いイニングを投げられる先発投手は非常に希少です。1年間ローテーションを守り抜き、大量のイニングを消化してリリーフ陣を休ませることができる投手は「イニングイーター」と呼ばれ、チーム内で絶大な価値を持ちます。

「規定投球回」という絶対的なライン

投球回を語る上で欠かせないのが「規定投球回」というルールです。

メジャーリーグにおいて、最優秀防御率などのタイトルを獲得するためには、「チームの試合数と同じだけのイニング数(=162イニング)」を投げる必要があります。これをクリアすること自体が、1年間大きなケガなく投げ抜いた「一流の先発投手の証」とされています。

投球回の目安評価選手層の目安
200 イニング鉄人リーグでも数人しか到達できない絶対的エースの勲章
162 イニング非常に優秀規定投球回クリア。1年間ローテーションを守り抜いた証
120 〜 150 イニング平均的チームの3〜5番手として貢献した先発投手

実際のデータ例

2025年シーズンにサイ・ヤング賞を受賞した両エースと、日本人投手の投球回データを例に挙げます。

選手名所属(リーグ)投球回 (IP)評価ポイント
タリック・スクーバルタイガース(ア)195.1200イニングに迫る鉄人級のタフさで1年間チームを牽引。
ポール・スキーンズパイレーツ(ナ)187.2若手ながら規定投球回(162)を大幅にクリアする大車輪の活躍。
山本 由伸(参考)ドジャース(ナ)173.2堂々の規定投球回クリア。ドジャースの柱として完走。
今永 昇太(参考)カブス(ナ)144.2規定には届かなかったものの、登板時には質の高い投球を披露。
大谷 翔平(参考)ドジャース(ナ)47.0シーズン途中の投手復帰のためイニング数は少ないが、圧巻の支配力を発揮。

どんなに防御率が良くても、投球回が少なければチームの勝利への貢献度は下がります。サイ・ヤング賞の審査において、スクーバル投手やスキーンズ投手が高く評価されたのは「これだけ長いイニングを投げ続けた上で、防御率も圧倒的だったから」に他なりません。

計算式(端数のルール)

投球回は「アウト1つ=3分の1イニング」として計算され、表記には独自のルールがあります。

【投球回(IP)の表記ルール】

  • アウト0個(イニングを完了): .0(例:6.0回)
  • アウト1個: .1(または1/3。例:6.1回)
  • アウト2個: .2(または2/3。例:6.2回)

※「6.1回」は「6.10イニング」という意味ではなく、「6イニングとアウト1つ」という意味になります。計算式(K/9など)に用いる際は、6.1を「6.333…」、6.2を「6.666…」に直して計算します。

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