2026年のMLBレギュラーシーズンが全日程を終了し、ポストシーズンに進む12チームが出揃いました。最終日までもつれ込んだAL西地区とNLワイルドカード最終枠の行方に加え、ブリュワーズの球団初100勝、ホワイトソックスの3年連続100敗からの進出など、記録づくしのシーズンとなりました。
※本記事のデータは、MLB公式サイト、ESPN、CBS Sports、Boston Globe、Boston Sports Journalが報じた情報を基にまとめています。
ポストシーズン進出12チーム一覧
| リーグ | 地区 | シード | 球団 | 成績 | 勝率 | 進出方法 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ア・リーグ | 東地区 | 1 | レイズ | 98勝64敗 | .605 | 地区優勝(1回戦シード) |
| ア・リーグ | 中地区 | 2 | ガーディアンズ | 85勝77敗 | .525 | 地区優勝(3年連続、1回戦シード) |
| ア・リーグ | 西地区 | 3 | アストロズ | 81勝81敗 | .500 | 地区優勝 |
| ア・リーグ | 東地区 | 4 | ヤンキース | 93勝68敗 | .578 | ワイルドカード1位 |
| ア・リーグ | 東地区 | 5 | レッドソックス | 87勝75敗 | .537 | ワイルドカード2位 |
| ア・リーグ | 中地区 | 6 | ホワイトソックス | 84勝78敗 | .519 | ワイルドカード3位 |
| ナ・リーグ | 中地区 | 1 | ブリュワーズ | 103勝59敗 | .636 | 地区優勝(1回戦シード) |
| ナ・リーグ | 西地区 | 2 | ドジャース | 100勝62敗 | .617 | 地区優勝(1回戦シード) |
| ナ・リーグ | 東地区 | 3 | ブレーブス | 94勝68敗 | .580 | 地区優勝 |
| ナ・リーグ | 西地区 | 4 | パドレス | 91勝71敗 | .562 | ワイルドカード1位 |
| ナ・リーグ | 中地区 | 5 | カブス | 89勝73敗 | .549 | ワイルドカード2位 |
| ナ・リーグ | 東地区 | 6 | フィリーズ | 88勝74敗 | .543 | ワイルドカード3位 |
最終日までもつれた2つの争い
AL西地区:史上初「貯金なし」での地区優勝
シーズン最終日、アストロズはアスレチックス戦に勝利し、同時にレンジャーズがツインズに敗れたことで、AL西地区優勝を確定させました。
最終成績は81勝81敗。CBS Sportsが指摘した通り、これは162試合制が採用されて以降、「勝ち越していない(貯金ゼロ、あるいは負け越した)チームが地区優勝を果たす初めてのケース」となりました。地区のレベルの低さと、最後まで抜け出せなかった混戦ぶりを象徴する結果です。
なお、MLB公式スタンディングを見ると、この勝率.500というアストロズの成績は、実はナ・リーグでは2チームがこれを上回りながらプレーオフを逃しているという、皮肉な状況も浮かび上がります。
- ダイヤモンドバックス:86勝76敗(勝率.531)でNL西地区3位、ワイルドカード争いも及ばず
- パイレーツ:82勝80敗(勝率.506)でNL中地区3位、ワイルドカード圏外
一方、ア・リーグ内でアストロズ(.500)を上回る成績で逃したチームは存在しませんでした(2位のレンジャーズは80勝82敗・勝率.494)。同じ「勝率.500超え」でも、所属するリーグ・地区の混戦度によって天国と地獄に分かれる、地区優勝制度ならではの巡り合わせと言えます。
NLワイルドカード最終枠:フィリーズが土壇場で滑り込み
ナ・リーグのワイルドカード最終枠(第3席)も、最終日までもつれました。フィリーズはレイズに7-3で勝利し、猛追してきたダイヤモンドバックスを振り切ってワイルドカード進出を確定させました。ダイヤモンドバックスはこの日パドレスに敗れており、フィリーズの薄氷を踏む進出となりました。
ア・リーグは「東地区」が突出、ナ・リーグは3地区均等
地区別の内訳を見ると、リーグごとの色の違いが浮かび上がります。
- ア・リーグ:東地区(レイズ、ヤンキース、レッドソックス)が進出6チーム中半分の3チームを占め、中地区が2チーム(ガーディアンズ、ホワイトソックス)、西地区が1チーム(アストロズ)
- ナ・リーグ:東地区(ブレーブス、フィリーズ)、中地区(ブリュワーズ、カブス)、西地区(ドジャース、パドレス)と、3地区から均等に2チームずつが進出
ア・リーグではワイルドカード3枠のうち2枠を東地区が占めるほど、地区内の実力が突出したシーズンとなりました。一方のナ・リーグは、地区の枠を超えて実力が拮抗していたことが、この均等な分布からもうかがえます。
ブリュワーズ、球団史上初の100勝シーズン
ナ・リーグ中地区を制したミルウォーキー・ブリュワーズは、103勝59敗という球団史上初の100勝シーズンを達成し、1回戦シードを確定させました。長年「堅実だが突出はしない」というイメージだった球団が、球団史に残るシーズンを作り上げた形です。
ホワイトソックス、3年連続100敗からの復活
シカゴ・ホワイトソックスは2024年に121敗(MLB史上最多)、2023〜2025年にかけて3年連続で100敗を記録するなど、長年低迷が続いていました。
その同じ球団が2026年、84勝78敗でワイルドカード3位を確定させ、ポストシーズン進出を果たしました。短期間での再建となり、イシュビア氏による資金注入など、新体制移行に向けた投資の効果が早くも結果に表れた形です。
【こぼれ話】ローマ教皇もホワイトソックスファン
2025年5月に選出された史上初のアメリカ人教皇レオ14世(本名:ロバート・プレヴォスト氏)は、シカゴ出身の生粋のホワイトソックスファンです。少年時代には2005年ワールドシリーズ第1戦(対アストロズ)を実際にスタンドで観戦しており、この試合でホワイトソックスは1917年以来となる世界一への道を歩み始めました。2025年6月にはバチカンでの一般謁見にホワイトソックスの帽子をかぶって登場するなど、その熱心なファンぶりが度々話題になっています。今回のプレーオフ進出に際しても、教皇から球団へ祝福の手紙が贈られたと報じられています。
各カードの初戦(ワイルドカードシリーズ)
- レッドソックス(5) vs ヤンキース(4):ヤンキース本拠地で開催
- ホワイトソックス(6) vs アストロズ(3):アストロズ本拠地で開催
- カブス(5) vs パドレス(4):パドレス本拠地で開催
- フィリーズ(6) vs ブレーブス(3):ブレーブス本拠地で開催
いずれも3回戦制(2勝先取)のワイルドカードシリーズで争われ、勝者がそれぞれ1回戦シード(レイズ、ガーディアンズ、ブリュワーズ、ドジャース)との地区シリーズ(ALDS/NLDS)に進みます。MLB公式が公開した組み合わせ全体図が、この構図を一目で伝えています。
ワイルドカードシリーズが3回戦制(ベストオブ3)である一方、地区シリーズ以降は5回戦制・7回戦制に移行することも、この図から確認できます。
レッドソックス:監督交代からの復活
ワイルドカード2位でポストシーズン入りしたレッドソックスも、今シーズン屈指の紆余曲折を辿ったチームです。
開幕から10勝17敗と出遅れ、4月25日にアレックス・コーラ監督(および5人のコーチ)を解任。傘下3Aウスターの監督だったチャド・トレーシー氏(41歳)が暫定監督に昇格しました。
それでもチームは低迷を続け、開幕78試合を終えた時点で32勝46敗まで借金を抱えます。しかしここから流れが一変。7月3日から22日にかけて15連勝(1946年の球団記録に並ぶ)を記録し、7月3日から8月7日までの30試合では27勝3敗という球団史上最高の勝率を記録しました。7月単月の勝率.840も球団記録です。
この巻き返しを受け、9月22日、トレーシー氏は正式に「暫定」の肩書きを外され、3年契約(2030年球団オプション付き)を締結。最終的に87勝75敗まで積み上げ、ワイルドカード2位でのポストシーズン進出を果たしました。
フィリーズ:監督交代からの復活
ワイルドカード3位でポストシーズン入りしたフィリーズも、シーズン序盤に監督交代を経験しています。
開幕から9勝19敗という、球団にとって20年以上ぶりの悪いスタートを受け、4月28日にロブ・トムソン監督を解任。トムソン氏は2022年の就任以来4年連続でポストシーズンに導いていた指揮官でしたが、解任されました。後任には、ベンチコーチのドン・マティングリー氏が暫定監督として就任しています。
チームはその後も苦戦が続きましたが、トレード期限でのルイス・アラエス選手獲得などを経て、8月には21勝7敗と持ち直し、最終的に88勝74敗でワイルドカード3位を確保しました。
【まとめ】2026年ポストシーズン早見表
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 進出球団数 | 12チーム(各リーグ6チーム) |
| ナ・リーグ最多勝 | ブリュワーズ103勝(球団史上初の100勝) |
| 最終日にもつれた争い | AL西地区(アストロズ81勝81敗で優勝)、NLワイルドカード最終枠(フィリーズ) |
| 注目の復活劇 | ホワイトソックスが3年連続100敗から一転してワイルドカード進出 |
| ドジャースの状況 | NL西地区優勝で13年連続進出、1回戦シード獲得 |
個人的に今シーズン最も印象的だったのは、番狂わせが同時多発した点です。ホワイトソックスの3年連続100敗からの復活、レッドソックスの開幕46敗からの巻き返し、アストロズの「貯金なし」地区優勝、そしてダイヤモンドバックス・パイレーツのような「勝率で上回っても地区運に泣いたチーム」。どのチームも、シーズン序盤の順位だけを見ていたら想像できなかった結末です。
また、進出12チームには日本人選手も数多く名を連ねています。ドジャースの大谷翔平選手・山本由伸選手・佐々木朗希選手、ホワイトソックスの村上宗隆選手、カブスの鈴木誠也選手・今永昇太選手、アストロズの今井達也選手、パドレスの松井裕樹選手・ダルビッシュ有選手と、合計9名が5球団に分かれています(うちレッドソックスの吉田正尚選手は8月の負傷でシーズン絶望的、パドレスのダルビッシュ投手は制限リスト入りしており、実際に出場できるかは不透明です)。それでも、実際に稼働できる選手の数で見ても、おそらく過去最多と言えるのではないでしょうか。レギュラーシーズンは終わってしまいましたが、まだまだMLBから目が離せませんね(個人的にはドジャースの3連覇に期待しています)。


コメント