球団が支払っている年俸は、グラウンドに立つ選手だけのものではありません。故障者リストに入っている選手、すでにトレードや放出で別のチームに移った選手にも、契約が残る限り支払いは続きます。2026年のSpotracの集計から、この「ロースター外」の年俸を球団別に並べると、30球団合計で約17億ドル、総年俸の約31%にのぼることがわかりました。最も多いのはジャイアンツで、総年俸の9割超がロースター外でした。
※本記事のデータは、Spotrac「MLB Team Salary Payroll Tracker」(2026年10月時点の給与総額の配分)と、各球団の個別ページを基にしています。「ロースター外」は、①故障者リスト入りの選手(Spotracの「Injured」)、②トレードや放出で別のチームに移った選手の残り年俸(同「Retained」。各球団ページではデッドマネーと呼ばれ、トレード・放出した選手の残り年俸やオプション拒否の買い取り金を指します)の2項目の合計です。割合は、この合計を総年俸で割った当サイトの計算値です。
球団別「ロースター外」の年俸ランキング
| 順位 | 球団 | 総年俸 | 故障者リスト | 放出・トレード済み | 2項目の合計 | 総年俸に占める割合 | ポストシーズン |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ジャイアンツ | 1億9,541万ドル | 1億3,949万ドル | 4,363万ドル | 1億8,312万ドル | 93.7% | |
| 2 | ブルージェイズ | 2億8,828万ドル | 9,744万ドル | 4,736万ドル | 1億4,480万ドル | 50.2% | |
| 3 | メッツ | 3億5,156万ドル | 2,329万ドル | 6,454万ドル | 8,783万ドル | 25.0% | |
| 4 | エンゼルス | 1億7,519万ドル | 4,903万ドル | 3,776万ドル | 8,678万ドル | 49.5% | |
| 5 | オリオールズ | 1億6,620万ドル | 5,961万ドル | 2,237万ドル | 8,198万ドル | 49.3% | |
| 6 | アストロズ | 2億3,976万ドル | 5,584万ドル | 1,796万ドル | 7,380万ドル | 30.8% | ◯ |
| 7 | ブレーブス | 2億6,062万ドル | 5,021万ドル | 1,962万ドル | 6,983万ドル | 26.8% | ◯ |
| 8 | ダイヤモンドバックス | 1億9,822万ドル | 4,407万ドル | 1,978万ドル | 6,385万ドル | 32.2% | |
| 9 | レッドソックス | 1億9,821万ドル | 5,268万ドル | 865万ドル | 6,133万ドル | 30.9% | ◯ |
| 10 | タイガース | 1億9,958万ドル | 2,958万ドル | 3,025万ドル | 5,984万ドル | 30.0% | |
| 11 | ヤンキース | 2億9,437万ドル | 4,764万ドル | 916万ドル | 5,680万ドル | 19.3% | ◯ |
| 12 | ブリュワーズ | 1億4,682万ドル | 3,290万ドル | 2,382万ドル | 5,672万ドル | 38.6% | ◯ |
| 13 | ロッキーズ | 1億1,453万ドル | 3,627万ドル | 1,984万ドル | 5,612万ドル | 49.0% | |
| 14 | アスレチックス | 9,770万ドル | 4,364万ドル | 1,184万ドル | 5,547万ドル | 56.8% | |
| 15 | ツインズ | 1億1,501万ドル | 4,950万ドル | 262万ドル | 5,213万ドル | 45.3% | |
| 16 | マリナーズ | 1億6,789万ドル | 2,419万ドル | 2,657万ドル | 5,076万ドル | 30.2% | |
| 17 | マーリンズ | 8,280万ドル | 2,184万ドル | 2,637万ドル | 4,821万ドル | 58.2% | |
| 18 | ロイヤルズ | 1億5,043万ドル | 2,803万ドル | 2,001万ドル | 4,804万ドル | 31.9% | |
| 19 | カブス | 2億4,707万ドル | 2,341万ドル | 2,436万ドル | 4,777万ドル | 19.3% | ◯ |
| 20 | レッズ | 1億3,422万ドル | 1,617万ドル | 2,770万ドル | 4,387万ドル | 32.7% | |
| 21 | レンジャーズ | 1億9,121万ドル | 3,403万ドル | 958万ドル | 4,361万ドル | 22.8% | |
| 22 | ナショナルズ | 1億504万ドル | 394万ドル | 3,525万ドル | 3,919万ドル | 37.3% | |
| 23 | パイレーツ | 1億673万ドル | 1,948万ドル | 1,907万ドル | 3,855万ドル | 36.1% | |
| 24 | ホワイトソックス | 1億195万ドル | 1,322万ドル | 1,718万ドル | 3,040万ドル | 29.8% | ◯ |
| 25 | ドジャース | 3億8,038万ドル | 2,104万ドル | 387万ドル | 2,491万ドル | 6.5% | ◯ |
| 26 | レイズ | 1億762万ドル | 1,700万ドル | 631万ドル | 2,331万ドル | 21.7% | ◯ |
| 27 | カージナルス | 9,790万ドル | 185万ドル | 1,986万ドル | 2,171万ドル | 22.2% | |
| 28 | フィリーズ | 2億8,895万ドル | 1,983万ドル | 131万ドル | 2,113万ドル | 7.3% | ◯ |
| 29 | パドレス | 2億2,112万ドル | 1,177万ドル | 334万ドル | 1,511万ドル | 6.8% | ◯ |
| 30 | ガーディアンズ | 7,941万ドル | 390万ドル | 517万ドル | 907万ドル | 11.4% | ◯ |
30球団の総年俸は約55億ドルで、そのうち故障者リストが約10.7億ドル、放出・トレード済みが約6.3億ドル、**合計約17.0億ドル(30.8%)**です。1球団あたりの平均は、故障者リストが約3,570万ドル、放出・トレード済みが約2,084万ドルです。
故障者リスト:ジャイアンツが1億3,949万ドルで全体1位
故障者リスト入りの選手への給与が最も多かったのはジャイアンツです。1億3,949万ドルは全30球団で1位で、総年俸(1億9,541万ドル)の約71%にあたります。10月時点でアクティブ26人枠に載っていた選手の年俸は1,079万ドルにとどまりました。
故障者リストには、デバース選手、アダメス選手、チャップマン選手、イ・ジョンフ選手、ウェッブ投手といった高額契約の主力が、そろって名を連ねていました(Spotracのぜいたく税ベースの年俸は、それぞれ2,915万ドル、2,600万ドル、2,517万ドル、1,883万ドル、1,800万ドル)。なお、表の数字は給与総額の配分ベースで、2026年に実際に支払う現金ベースでは、故障者リスト分は約7,609万ドルです。
2位はブルージェイズ(9,744万ドル)、3位はオリオールズ(5,961万ドル)です。上位にはポストシーズン進出球団のアストロズ(5,584万ドル)、レッドソックス(5,268万ドル)、ブレーブス(5,021万ドル)も入っており、故障者の多さだけで成績が決まるわけではありません。
放出・トレード済み:メッツが6,454万ドルで全体1位
トレードや放出で別のチームに移った選手の残り年俸が最も多いのはメッツで、6,454万ドルです。主な支払い先は、(2026年の現金支払額で)ウィーバー投手(1,065万ドル)、ホームズ投手(918万ドル)、ミンター投手(759万ドル)ら、トレードで放出した投手たちです。
2位はブルージェイズ(4,736万ドル)で、ガウスマン投手(1,611万ドル)、ホフマン投手(943万ドル)、バーショ選手(759万ドル)らへの支払いが続いています。3位のジャイアンツ(4,363万ドル)も、ロビー・レイ投手(2,182万ドル)、アラエス選手(847万ドル)、マーレ投手(779万ドル)などの残り年俸を抱えています。
ブルージェイズは、故障者リストと放出・トレード済みの合計が1億4,480万ドル(総年俸の50.2%)で、ジャイアンツに次ぐ2位です。総年俸(2億8,828万ドル)のうち、ほぼ半分がロースター外という計算になります。
ロースター外の割合が低いのは、ドジャース・パドレス・フィリーズ
割合で見ると、ロースター外の年俸が少ないのは、ドジャース(6.5%)、パドレス(6.8%)、フィリーズ(7.3%)、ガーディアンズ(11.4%)の順で、いずれもポストシーズン進出球団です。金額で見ても、年俸1位のドジャースは2,491万ドルにとどまります。
一方、割合が50%を超えたのは、ジャイアンツ、ブルージェイズ、アスレチックス、マーリンズの4球団です。
ポストシーズン進出12球団の平均は20.8%、進出を逃した18球団の平均は41.8%で、約2倍の差があります。30球団全体で見ると、ロースター外の割合と勝利数の相関係数は**-0.61**で、割合が高い球団ほど勝利数が少ない傾向が出ています。
ただし、因果関係は一方向とは限りません。故障者が多いから勝てなかった面もあれば、順位が絶望的になった球団がトレードで選手を放出し、デッドマネーが増えた面もあります。実際、ポストシーズン進出球団でもブリュワーズは5,672万ドル(38.6%)をロースター外に抱えながら、両リーグ最多の103勝を挙げました。
読むときの注意点
- シーズン終了直後の時点の集計です。故障者リストの選手は、ワールドシリーズ終了の5日後までにリストから外す必要があるため、オフに入ると故障者リストの金額は大きく変わります。
- 給与総額の配分と、実際に支払う現金は一致しません。 契約金の按分などが含まれるため、前述のジャイアンツのように差が出ます。
- 総年俸には、ここで取り上げた2項目と、アクティブ26人枠のほかに、繰り延べ分、契約金、マイナー降格中の契約なども含まれるため、各項目を足しても総年俸とは一致しません。
- 故障者リストの金額は、選手の評価を示すものではありません。出場できない期間も契約上の給与が発生する、というルールの結果です。
【まとめ】早見表
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 30球団合計のロースター外の年俸 | 約17.0億ドル(総年俸の30.8%) |
| 故障者リストが最も多い | ジャイアンツ(1億3,949万ドル、総年俸の約71%) |
| 放出・トレード済みが最も多い | メッツ(6,454万ドル) |
| 割合が最も高い | ジャイアンツ(93.7%) |
| 割合が最も低い | ドジャース(6.5%) |
| 進出球団と非進出球団の平均割合 | 20.8%と41.8% |
| 割合と勝利数の相関係数 | -0.61 |
個人的に最も印象的だったのは、ジャイアンツの数字です。総年俸は全30球団で13位でしたが、10月時点でアクティブ26人枠に載っていたのは1,079万ドル分だけで、残りの大半が故障者リストか放出・トレード済みの選手でした。年俸ランキングだけでは見えない「お金の行き先」が、こうして並べるとはっきりします。ただし、この数字はシーズン終了時点のスナップショットなので、オフを経てどう変わるかも含めて見ていきたいと思います。


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