2026年8月、サンディエゴ・パドレスの経営権がフェリシアーノ&ジョーンズ夫妻に移り、買収額39億ドルはMLB史上最高額を更新しました。この金額がどれほどの規模なのか、過去の主要な球団売却と並べてみると輪郭がはっきりします。
本記事では、MLB球団売却額の歴代ランキングを、各案件の経緯とあわせて整理します。
1位:サンディエゴ・パドレス(2026年)39億ドル
- 買収者:ホセ・E・フェリシアーノ&クワンザ・ジョーンズ夫妻(投資家グループ)
- 前オーナー:サイドラー家
- 承認:2026年8月17日、MLBオーナー全会一致で承認
前オーナーのピーター・サイドラー氏が2023年に死去した後、家族が売却を検討。2025年11月に売却方針を表明し、2026年5月に合意、8月に取引が完了しました。従来の記録を15億ドル近く更新しています。
サイドラー家自身も、2012年に前オーナーのジョン・ムーアーズ氏から8億ドルで球団を買収しています。14年で39億ドルまで値上がりしたことになり、約4.9倍の成長です。
新オーナーのフェリシアーノ&ジョーンズ夫妻の経営体制については、こちらの記事で詳しく解説しています。
2位:ニューヨーク・メッツ(2020年)24億2000万ドル
- 買収者:スティーブ・コーエン氏(ヘッジファンドマネージャー)
- 前オーナー:ウィルポン家
メッツの熱心なファンとして知られるコーエン氏が、長年オーナーを務めたウィルポン家から球団を取得。当時は北米の4大プロスポーツ全体を通じても最高額の取引として話題になりました。
球団の歴史をさらに遡ると、ウィルポン氏らが1980年にメッツを買収した際の価格は2110万ドルでした。2020年の売却額24億2000万ドルと比べると、40年で実に約114倍という規模の成長になります。
3位:ロサンゼルス・ドジャース(2012年)21億5000万ドル
- 買収者:マーク・ウォルター氏らによる投資家グループ「グッゲンハイム・ベースボール・マネジメント」
- 前オーナー:フランク・マッコート氏
マッコート氏の経営難で球団が破産申請に追い込まれた末の売却でした。当時としてはプロスポーツ史上最高額の取引で、この金額が長らく球界の基準点となっていました。
そのマッコート氏自身も、2004年にニューズ・コーポレーションから4億3000万ドルで球団を買収した経緯があります。8年で21億5000万ドルまで値上がりし、約5倍の成長を遂げたことになります。
4位:ボルティモア・オリオールズ(2024年)17億2500万ドル
- 買収者:デービッド・ルーベンスタイン氏(カーライル・グループ共同創業者)
- 前オーナー:エンジェロス家
エンジェロス家が1993年に買収した際の価格は1億7300万ドル。約30年で10倍近い価値に成長したことになります。
5位:マイアミ・マーリンズ(2017年)12億ドル
- 買収者:ブルース・シャーマン氏(46%)、デレク・ジーター氏(4%)を中心とする投資家グループ
- 前オーナー:ジェフリー・ロリア氏
ロリア氏が2002年に球団を取得した際の価格は1億5850万ドルでした。2017年の売却額12億ドルと比べると、15年で7倍以上に値上がりしたことになります。ジーター氏はCEOとして球団運営の実務を主導する立場での参画でしたが、出資額は2500万ドル、比率にすると全体の2%程度でした。
【豆知識】売却額と球団評価額は必ずしも一致しない
フォーブス誌はMLB全30球団について毎年独自の評価額を算出していますが、この評価額と実際の売却額はしばしば大きくズレます。マーリンズの場合、売却発表当時のフォーブス評価額は9億4000万ドルでしたが、実際の売却額は12億ドル。評価額を3億ドル近く上回る価格での成立でした。人気球団の売却では、複数の買い手による競争が評価額以上の価格を引き上げる要因になります。
早見表:MLB球団売却額ランキング
| 順位 | 球団 | 売却額 | 年 | 買収者 | 現在の評価額(Forbes 2026) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | パドレス | 39億ドル | 2026 | フェリシアーノ&ジョーンズ夫妻 | ー(売却直後のため次回算出待ち) |
| 2 | メッツ | 24.2億ドル | 2020 | スティーブ・コーエン | 35億ドル |
| 3 | ドジャース | 21.5億ドル | 2012 | グッゲンハイム・ベースボール・マネジメント | 78億ドル |
| 4 | オリオールズ | 17.25億ドル | 2024 | デービッド・ルーベンスタイン | 20億ドル |
| 5 | マーリンズ | 12億ドル | 2017 | ブルース・シャーマン&デレク・ジーター | 15億ドル |
現在の評価額で見ると、ドジャースの伸びが際立ちます。2012年の買収額21億5000万ドルに対し、2026年の評価額は78億ドル。14年で3.6倍という成長です。
一方、パドレスは今回39億ドルで売却が成立しましたが、これはForbesが2026年3月時点で示していた球団評価額31億ドルを、25%以上上回る水準でした。人気球団の売却では、複数の買い手による競争が、事前の評価額を大きく超える価格を生み出すことがよくあります。
なお、オリオールズとマーリンズは売却額と現在の評価額の差が比較的小さく、短期間で急成長したわけではないことがわかります。
【2026年9月の最新情報】1位交代の可能性──エンゼルスが40億ドルで売却合意
2026年9月1日、ロサンゼルス・エンゼルスのオーナー、アート・モレノ氏が、NFLラムズも所有するスタン・クロエンケ氏率いる「KSE(クロエンケ・スポーツ&エンターテインメント)」に球団を売却することで合意したと発表しました。複数の米報道によると売却額は約40億ドル(約6,400億円)とされ、成立すればパドレスの39億ドルを上回り、MLB史上最高額を更新します。
モレノ氏は2003年にウォルト・ディズニー社から約1億8,400万ドル(約295億円)で球団を買収しており、約23年で球団価値はおよそ22倍にまで膨れ上がった計算になります。
ただし、この取引の正式な完了はMLBオーナー会議での承認を経た2027年第1四半期の見込みで、2026年9月時点ではまだ「合意」の段階です。そのため本ランキングでは、取引が完了済みのパドレスを引き続き1位としています。エンゼルスの売却が正式に承認されれば、このランキングの首位が塗り替わることになります。
新オーナーとなるクロエンケ氏の経営体制については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 【MLB球団オーナー】ロサンゼルス・エンゼルス(LAA)の新オーナー:スタン・クロエンケ
なお、レイズについても2026年時点で球団評価額17億ドル規模での売却交渉が報じられており、成立すればこのランキングの一角に加わる可能性があります。今後の動向次第では、このリストの並びが近いうちに更新されるかもしれません。


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