勝ち星1つを手に入れるのに、各球団はいくらの年俸を抱えていたのか。2026年シーズンの勝利数と総年俸から「1勝あたりの年俸」を計算し、全30球団を並べました。最も少なかったのは全30球団で最も総年俸が低いガーディアンズ(93万ドル)、最も多かったのはメッツ(475万ドル)です。ただし、この割り算だけでは見えない事情もあるため、年俸と勝利数の関係そのものも、あわせて検証します。
※本記事の総年俸と勝敗は、Spotrac「MLB Team Payroll」(2026年10月時点)の数字を基にしています。総年俸は、アクティブ選手、故障者リスト、放出・トレードした選手の残余年俸、マイナー契約の合計です。「1勝あたりの年俸」は、総年俸を勝利数で割った当サイトの計算値です。
全30球団「1勝あたりの年俸」ランキング(安い順)
| 順位 | 球団 | 成績 | 総年俸 | 1勝あたり年俸 | 総年俸の順位 | ポストシーズン |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ガーディアンズ | 85勝77敗 | 7,941万ドル | 93万ドル | 30位 | ◯ |
| 2 | マーリンズ | 80勝82敗 | 8,280万ドル | 103万ドル | 29位 | |
| 3 | レイズ | 98勝64敗 | 1億762万ドル | 110万ドル | 23位 | ◯ |
| 4 | ホワイトソックス | 84勝78敗 | 1億195万ドル | 121万ドル | 26位 | ◯ |
| 5 | カージナルス | 77勝85敗 | 9,790万ドル | 127万ドル | 27位 | |
| 6 | パイレーツ | 82勝80敗 | 1億673万ドル | 130万ドル | 24位 | |
| 7 | ナショナルズ | 77勝85敗 | 1億504万ドル | 136万ドル | 25位 | |
| 8 | ブリュワーズ | 103勝59敗 | 1億4,682万ドル | 143万ドル | 19位 | ◯ |
| 9 | ツインズ | 77勝85敗 | 1億1,501万ドル | 149万ドル | 21位 | |
| 10 | アスレチックス | 64勝98敗 | 9,770万ドル | 153万ドル | 28位 | |
| 11 | レッズ | 75勝87敗 | 1億3,422万ドル | 179万ドル | 20位 | |
| 12 | ロッキーズ | 58勝104敗 | 1億1,453万ドル | 197万ドル | 22位 | |
| 13 | オリオールズ | 79勝82敗 | 1億6,620万ドル | 210万ドル | 17位 | |
| 14 | ロイヤルズ | 69勝93敗 | 1億5,043万ドル | 218万ドル | 18位 | |
| 15 | マリナーズ | 76勝86敗 | 1億6,789万ドル | 221万ドル | 16位 | |
| 16 | レッドソックス | 87勝75敗 | 1億9,821万ドル | 228万ドル | 12位 | ◯ |
| 17 | ダイヤモンドバックス | 86勝76敗 | 1億9,822万ドル | 230万ドル | 11位 | |
| 18 | レンジャーズ | 80勝82敗 | 1億9,121万ドル | 239万ドル | 14位 | |
| 19 | パドレス | 91勝71敗 | 2億2,112万ドル | 243万ドル | 9位 | ◯ |
| 20 | タイガース | 76勝86敗 | 1億9,958万ドル | 263万ドル | 10位 | |
| 21 | ブレーブス | 94勝68敗 | 2億6,062万ドル | 277万ドル | 6位 | ◯ |
| 22 | カブス | 89勝73敗 | 2億4,707万ドル | 278万ドル | 7位 | ◯ |
| 23 | エンゼルス | 62勝100敗 | 1億7,519万ドル | 283万ドル | 15位 | |
| 24 | アストロズ | 81勝81敗 | 2億3,976万ドル | 296万ドル | 8位 | ◯ |
| 25 | ジャイアンツ | 65勝97敗 | 1億9,541万ドル | 301万ドル | 13位 | |
| 26 | ヤンキース | 93勝68敗 | 2億9,437万ドル | 317万ドル | 3位 | ◯ |
| 27 | フィリーズ | 88勝74敗 | 2億8,895万ドル | 328万ドル | 4位 | ◯ |
| 28 | ブルージェイズ | 79勝83敗 | 2億8,828万ドル | 365万ドル | 5位 | |
| 29 | ドジャース | 100勝62敗 | 3億8,038万ドル | 380万ドル | 1位 | ◯ |
| 30 | メッツ | 74勝88敗 | 3億5,156万ドル | 475万ドル | 2位 |
30球団の平均は、総年俸1億8,347万ドル、勝利数81勝で、1勝あたり約227万ドルです。
最も安かった球団:年俸最下位のガーディアンズが1位
1位はガーディアンズで、85勝を総年俸7,941万ドルで挙げました。年俸は全30球団で最も低いにもかかわらず、ア・リーグ中地区を制しています。
上位には、ポストシーズン進出12チームの年俸ランキングでも取り上げたレイズ(98勝、110万ドル)、ホワイトソックス(84勝、121万ドル)、ブリュワーズ(103勝、143万ドル)が並びます。特にブリュワーズは、年俸1位のドジャースの約39%の総年俸で、勝利数は3つ上回りました(103勝と100勝)。
一方で、「安い」=「強い」とは限りません。2位のマーリンズ(103万ドル)は80勝82敗、5位のカージナルス(127万ドル)は77勝85敗、7位のナショナルズは77勝85敗でした。年俸が低くても、負け越して終わった球団は多数あります。
最も高かった球団:メッツが475万ドルでワースト
最も高かったのはメッツで、総年俸3億5,156万ドル(全体2位)に対して74勝88敗でした。ドジャースとの年俸差は約2,880万ドルにとどまるのに、勝利数は26少なく、1勝あたり年俸はドジャースの約1.25倍(475万ドル対380万ドル)です。
続くのが、100勝を挙げたドジャース(380万ドル)です。ブルージェイズ(365万ドル、79勝83敗)、フィリーズ(328万ドル)、ヤンキース(317万ドル)が並びます。
ここで注意したいのは、この指標は高年俸の球団に不利に出るという点です。年俸が大きいほど分子が膨らむため、100勝を挙げたドジャースでも下から2番目になります。「高い=無駄」と読むのは早計です。
年俸と勝利数の関係は、思ったより弱い
そこで、年俸と勝利数の関係そのものを調べました。全30球団の総年俸と勝利数の相関係数は0.32(決定係数0.10)で、2026年は年俸の差で説明できる勝利数のばらつきは約1割でした(決定係数は、勝利数の差のうち年俸で説明できる割合を示す指標で、1に近いほど年俸だけで勝敗が決まることを意味します)。直線で近似すると、年俸が1億ドル増えるごとに、勝利数は平均で約4.4勝増える計算です。
年俸上位10球団と下位10球団で比べても、差は限定的です。
| グループ | 平均勝利数 | ポストシーズン進出 |
|---|---|---|
| 年俸上位10球団 | 86.5勝 | 7球団 |
| 年俸中位10球団 | 78.2勝 | 2球団 |
| 年俸下位10球団 | 78.2勝 | 3球団 |

年俸から「予想される勝利数」との差
年俸の差を考慮するため、先ほどの直線から予想される勝利数と、実際の勝利数の差も見てみます。
| 順位 | 球団 | 実際の勝利数 | 年俸から予想される勝利数 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| 上振れ1位 | ブリュワーズ | 103勝 | 79勝 | +23.6勝 |
| 上振れ2位 | レイズ | 98勝 | 78勝 | +20.4勝 |
| 上振れ3位 | ドジャース | 100勝 | 90勝 | +10.4勝 |
| 上振れ4位 | ブレーブス | 94勝 | 84勝 | +9.7勝 |
| 上振れ5位 | ガーディアンズ | 85勝 | 76勝 | +8.6勝 |
| 下振れ1位 | ロッキーズ | 58勝 | 78勝 | -19.9勝 |
| 下振れ2位 | エンゼルス | 62勝 | 81勝 | -18.6勝 |
| 下振れ3位 | ジャイアンツ | 65勝 | 81勝 | -16.5勝 |
| 下振れ4位 | メッツ | 74勝 | 88勝 | -14.3勝 |
| 下振れ5位 | アスレチックス | 64勝 | 77勝 | -13.2勝 |
この見方では、ドジャースは年俸が最も高いにもかかわらず、予想を約10勝上回る3番目の上振れでした。反対に、年俸が13位のジャイアンツや15位のエンゼルスは、予想を大きく下回りました。
読むときの注意点
数字を読む際は、次の点に注意が必要です。
残余年俸の扱い: 総年俸はシーズン終了時点の集計であり、トレード期限の売り買いや放出選手の残余年俸が含まれるため、実際の稼働選手のコストとは差が出ます。
運の要素(得失点差からの乖離): 勝利数には運の要素も含まれます。たとえば、レイズの得失点差から見た期待勝敗(ピタゴリアン勝率)は90勝72敗であり、実際の98勝より8勝少なくなります。低年俸で勝ち越した球団には、接戦をモノにする運の追い風もありました。
単年データの限界: 対象は2026年の1シーズンのみであり、中長期的な傾向を断定するには複数年のデータトラッキングが必要です。
【まとめ】早見表
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 1勝あたり年俸が最も安い | ガーディアンズ(93万ドル、85勝、年俸最下位) |
| 1勝あたり年俸が最も高い | メッツ(475万ドル、74勝、年俸2位) |
| 30球団の平均 | 1勝あたり約227万ドル |
| 年俸と勝利数の相関 | 相関係数0.32(決定係数0.10) |
| 年俸が1億ドル増えた場合 | 平均で約4.4勝増える計算 |
| 年俸から見た最大の上振れ | ブリュワーズ(+23.6勝) |
| 年俸から見た最大の下振れ | ロッキーズ(-19.9勝) |
個人的には、1勝あたりの年俸ではドジャースが下から2番目なのに、年俸から予想される勝利数を約10勝上回っている点が印象に残りました。割り算で見ると「高い買い物」でも、年俸の差を考慮して見ると、きちんと結果で応えている。反対に、メッツやジャイアンツのように、年俸に見合う結果が出なかった球団もありました。同じ年俸のランキングでも、見る角度で評価が入れ替わるのが、この種のデータを見る面白さだと思います。


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